Chariot SACSを12V系に限定した場合の経済性試算

Chariot SACSを12V系に限定した場合の経済性試算

 ベランダに置いた太陽電池が発電したら、勝手にPCの電力を節約してくれるChariot SACSをご存じですか?  ご存じない方は、 こちら をお読みください。

— 小ロット条件でも投資回収期間を約15年まで短縮 —
 Chariot SACSについて、これまで私は主に従来構成を前提として経済性を評価してきました。しかし最近の検討で、12V系に機能を限定して構成を最適化することで、従来より採算性を改善できる見込みとなりました。  これは新しい技術思想を追加するものではなく、既存の日本特許「特許第7743955号」でカバーされる構成の範囲内で、より経済性を重視した実施形態を検討したものです。  今回、個人による小ロット製造を前提として費用を概算したところ、SACS本体の製造原価は以下のようになりました。

DCDCコンバータ(20A) 8,000円
その他の実装部品 5,000円
プリント基板(2層・170mm×170mm、20枚製造時の1枚当たり) 1,000円
実装人件費 2,000円
簡易テスト費 1,000円
中国から西東京市の倉庫までの輸送費 500円
基板部分合計 17,500円
大容量電解コンデンサ等(電源断対策) 1,000円
PC内部の配線製造費 4,000円
SACS本体の製造原価合計 22,500円

この条件で、標準希望小売価格を45,000円と仮定します。
さらに、利用者側で必要となる太陽電池と配線材を以下のように見積もります。

項目 概算費用
SACS本体 45,000円
80W太陽電池 15,000円
配線材 2,000円
初期費用合計 62,000円
 80Wクラスの太陽電池を使用した場合、電気料金の削減額は1日約11.5円を目安としています。
(想定電気代単価:40円/kW、1日に36Wを8時間節約できる想定。一般的なデスクトップPCの12V系のアイドル時の消費電力は30W程度、負荷上昇で消費電力も上昇。)

 年間では、
11.5円 × 365日 ≒ 4,200円
の節約になります。
この場合、単純な投資回収期間は、
62,000円 ÷ 約4,200円/年 ≒ 14.8年
となり、概ね約15年です。
従来の構成では、投資回収期間が約21年となる試算もありました。そのため、12V系に限定して構成を簡素化・最適化することで、経済性を一定程度改善できる可能性があります。  もっとも、約15年という投資回収期間は、一般的な消費者向け製品として見れば依然として短いとは言えません。  一方で、今回の試算はあくまで個人による小ロット調達・製造条件を前提としたものです。  たとえば、現在の原価構造では20AのDCDCコンバータだけで8,000円を占めています。 また、プリント基板についても20枚程度の製造を前提としており、PC内部配線についても少量製造時のコストを想定しています。

 もし資力のある企業がライセンシーとなり、大量調達や量産設計を行う場合には、電子部品の大量購入
DCDC回路の量産向け最適化
プリント基板の大量生産
配線部品の大量製造
実装工程の効率化
検査工程の自動化
などによって、製造原価がさらに低下する可能性があります。  ただし、現時点では量産時の具体的な原価低減率を算定できていません。そのため、「量産すれば必ず採算が取れる」と主張するものではありません。

 現時点で言えるのは、12V系に限定した構成では、小ロット条件でも投資回収期間を約15年まで短縮できる可能性があり、企業による量産設計・大量調達を行った場合には、さらに改善する余地が残されているということです。   また、企業が実際に製品化を検討する場合には、製造原価だけでなく、開発費、品質保証、認証、物流、販売費、サポート費用なども考慮する必要があります。  したがって、今回の試算はChariot SACSの事業性を確定するものではなく、量産メーカーによる詳細な経済性評価を行うための一つの基礎資料として位置付けています。  Chariot SACSの日本特許「特許第7743955号」は、今回の12V系に限定した構成についても、その基本的な技術思想をカバーするものと考えています。  今後、企業等がChariot SACSの導入やライセンスについて検討する際には、自社の部品調達価格や量産条件を用いて、より現実的な製造原価や投資回収期間を評価していただければと思います。


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