個人研究所とはどうあるべきか ~Chariot Lab.の考え~

序文
1.概要
2.理想の事業部と研究所の時間比率
3.大企業の研究所と大学と個人研究所の比較
4.60万円で日米中に特許を出願する方法

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序文

今回は、個人研究所とはどうあるべきか、私見を述べます。

1.概要
2.理想の事業部と研究所の時間比率
3.大企業の研究所と大学と個人研究所の比較
4.60万円で日米中に特許を出願する方法

1.概要

私は、新卒で研究所に入りましたが、事業部も経験したいなんて言って研究所を出て行ったら、研究所に戻れなくなり、再び研究をやりたいという思いから、個人で研究をしています。
研究所時代、出願した1件の特許で、周りの理解が得られず、自分も特許の知識がなく、発明内容のわりに大したことのない特許になってしまったこともあります。
その時の経験から特許を特許部任せにしたくないと思い、後ほど知財検定2級も取りました。
現在、主に、特許第7743955号、特許第6896357号という2件の特許を保有しています。興味のある方は読んでみてください。
研究をするには、お金が必要です。個人で自由に研究するためには、生活費と娯楽費と貯蓄に加え、研究費も稼ぐ必要があります。
特許がライセンス収入になればいいですが、ライセンス収入につながる特許は、全体の7%しかないそうで、安定した研究をするためには、別の収入源が必要です。
そのため、私は、ITエンジニアで収入を得て、その中の予算で研究をしています。


2.理想の事業部と研究所の時間比率

ITエンジニアでの収入は、多いほうがいいです。
スキルがあるからたくさん稼げるというのならいいのですが、無理して高稼働の案件・きつい案件に入ってしまうと、研究の時間と体力が残りません。
そのため、私は、収入源の仕事に週40時間働くことを理想としています。
ITエンジニアは、高稼働の案件だと、月220時間なんていう案件もあります。
そういった高稼働の案件に入ったこともありますが、そういった案件に入ると何のために生きているかわからなくなります。
一方で、最近では週に3日しか働かなくていいという案件もあります。
しかし、それではお金が足りなくなってしまいます。
だから、私は週40時間、1日8時間が理想だと考えます。
仕事には忙しい時期や守らなくてはいけない納期もあります。
そのため、週45時間、1日9時間くらいまでは、普通に働かなくてはいけないものと考えています。
それより高稼働が常態化したら、案件の変更等を検討するかもしれません。
いずれにせよ、個人で研究をするには、収入と研究時間のバランスをとる必要があります。

ITエンジニアの仕事は、働けない期間が発生することもあります。そのため、時間よりどちらかというと収入を優先したほうがいいです。
ITエンジニアの仕事で働けない期間は、研究にどっぷりつかっても、ITの勉強に使っても、あるいは海外に英語の勉強をしに行ってもいいですが、いずれにせよ貯えがあることが前提なので、普段から収入を得ること、予算を使いすぎないことを心がける必要があります。

理想の事業部と研究所の時間比率は、85:15~97:3と考えています。
研究に15%以上使うと、収入を失うリスクが増えます。一方で、研究に使う時間が3%以下だと、達成感がなく、何のために生きているのかわからなくなります。
ITの仕事は、お客様からお金をいただいているので、当然優先です。研究をやりたいからこそ、ITの仕事を大事にする必要があります。
当然、ITの仕事で報酬が発生している時間は、研究のことは考えてはいけません。
しかし、それ以外の時間も、すべて研究に使っていいわけではありません。ITの仕事のためのスキルを身につけたり、ITの仕事のために脳や体を休めたりすることも必要です。
健全に働くために、たまに旅行に行ったり、外部のお風呂に入ったりすることも必要です。
私は、基本的にまとまった研究はやるとしても、土曜日にしかやりません。

今年に入ってからは、それすらもほとんどしていませんでした。
これは、2025年にあまりにも研究にお金を使いすぎてしまったため、ITの仕事のみをして、その報酬で電子部品を買い込むという方針をとったためです。
秋あたりから、少しずつ実験を始めようと思います。
土曜日に研究を進めるとしても、土曜日以外は、軽く回路パターンを見たり、図面を確認したり、外部文献を調べたり、情報発信したりといった軽い作業を少しする程度です。
日曜日は、軽い旅行に行ったり、IT関係の本を読んだり、英単語帳を眺めたりといったことに時間を使っています。
収入と研究時間のバランスはとても重要です。


3.大企業の研究所と大学と個人研究所の比較

大企業の研究所は、研究自体をメインの仕事にするという意味で、恵まれた環境です。
一方で、以下の縛りがあります。
・研究成果は会社のもの
・副業禁止
・会社の情報管理あり
・研究テーマは会社が決める
こういった制約が嫌いなら、大企業の研究所は向きません。
また、一度研究所を離れると採用されにくくなることがあります。
特に、40歳以上になると、研究所によっては、採用されにくい場合があります。
また、小規模出願という制度があり、特許の審査にかかる時間が大幅に短くなる早期審査は、大企業では使えません。
これが意外に研究活動をやりにくくします。

大学は、税金で研究できるので、とても良い環境です。
一方で、博士号を持っていないと、自分の研究室を持つのは難しいでしょう。
また、大学は教育機関なので、学生の面倒を見る必要があります。
そして、研究成果は大学のもの、それ以外にも大学の規則に従わなくてはいけません。
自分のやりたい研究に没頭できる時間は、意外に少ないのかもしれません。

では、個人研究だとどうでしょうか?
個人研究の最大の難しさは、予算の確保です。
十分な予算を確保するには、研究費をもらうか、別の仕事をするしかありません。
私の場合、研究成果が出るのかもわからないリスクのある研究を、夢やロマンのためにやりたいので、週40時間のITエンジニアの仕事で、生活費と娯楽費と貯蓄に加え、研究費も稼ぐようにしています。
幸いにも、現在のITエンジニアの仕事が続く限り、研究の予算と時間は確保できる見込みです。
研究自体で稼げれば一番良いのですが、研究テーマは自分で決めたいので、受託研究はしない方針です。
そうすると、唯一収入として可能性のあるのは、特許のライセンス収入ですが、ライセンス収入に結び付く特許は全体の7%しかありません。
そのため、研究自体は、一切の収入を生まないという前提で考えています。
それでも研究をやりたいのは、世界人類のエネルギー問題にほんのほんのわずかでも貢献したいためです。
富なき名声しか得られなかったとしても、後悔はしません。
研究が好きなら、それでいいじゃないですか。


4.60万円で日米中に特許を出願する方法

最後に、Chariot SACSの特許(特許第7743955号)に関して、60万円で日米中に特許を出願した方法を紹介します。
特許の技術思想に関しては、こちらをご覧ください。


知財検定2級程度の特許知識、特許明細書の作成経験が前提となりますが、特許は、弁理士に依頼しなくても書けます。
私は、AIを全く使わず、8万文字の明細書を独力で書きました。
心配なら、特許調査だけ外部に依頼することもできます。
スタートアップ扱いだと、審査請求費用が3分の1になる制度があり、私は、出願に1.4万円+審査請求に5万円ほどで出せました。

米国特許も、翻訳会社・弁理士なしで出せます。
米国特許には、日本と違う面もありますが、たいていは日本より緩い規則のことが多いです。
英語での面接が必要なので、できれば英検準1級くらいを持っておきたいです。
明細書の超過ページ料金が必要でしたが、米国にはそれでも補助金適用前で6万円程度で出せました。
なお、費用はAMEX等のクレジットカードで払えます。

問題は中国です。
一般的な日本の弁理士事務所経由で、中国の弁理士も通して、翻訳もフルで依頼して出願すると、日本語の明細書が8万文字の場合、230万円が相場です。
まず、日本の弁理士事務所を通さず、中国の弁理士に直接依頼することにし、200万円まで安くなりました。
次に、日本語の原文を5.5万文字まで減らし、翻訳費用(日本語1文字につき1人民元)を抑え、160万円まで安くなりました。
次に、翻訳です。
中国語をかなり勉強しないと、中国語への明細書の翻訳は難しいです。
私は、HSK Lv2という中国語の超初級の資格を持っているというレベルの中国語と、複数の翻訳サイトを用い、中国語の下訳を作りました。
やり方としては、日本語→中国語→日本語と機械翻訳し、意図した意味になるよう、日本語を変えていくというものです。
結果、10文程度を除き、自然な訳になりました。
10文は、限られた中国語の知識と辞書などを使い、頑張って訳しました。
そして、下訳のチェックを弁理士事務所にお願いすると、なんと、標準翻訳費用の4割(60%オフ)で請け負ってくれるというじゃないですか。
これで、85万円くらいまで安くなりました。
注意として、中国への送金は、いろいろ大変なことが多く、楽天銀行経由で送金しましたが、FAXで送金の使途を説明したりする必要があります。

そして、個人や中小企業を対象に、特許外国出願の補助金制度、INPIT外国出願補助金という制度があります。
上限はありますが、外国出願費用の半分を補助してくれます。
これに通り、補助金を受けることになります。
その結果、最終的に、米国は6万円→3万円、中国は85万円→43万円ほどになります。
結果として、60万円以下で、日米中に出願することができました。

個人研究者は、予算も限られるので、このような血のにじむような努力が必要です。
それでも、研究テーマも時間の使い方も自分で決められることは、個人研究者にとって大きな価値です。

いかがでしたか。
個人研究所のあり方のお話でした。





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